2018.10.12ひふみんのやり抜く力 ~将棋界のレジェンド加藤一二三さんの仕事観~
こんにちは。
今日は天才棋士のインタビュー記事を紹介したいと思います。
約1か月ほど前でしょうか。たまたま目にした加藤一二三さんの記事を読んで、その生き方、仕事観にとても感銘を受けました。
あー、ステキな記事だなぁと思いそれっきりになっていたのですが、先日ふとしたきっかけでこの記事に再会したのでブログに残しておこうと思います。
加藤一二三さんは「ひふみん」の愛称で人気ものですから知らない人はいないと思いますが、実は将棋界のレジェンド中のレジェンド!プロデビュー後は「神武以来の天才棋士」と称されの数々の伝説を残しているんです。
まずはインタビュー記事に掲載されていたプロフィールを転載します。
加藤一二三(かとう・ひふみ)将棋棋士
1940年、福岡県生まれ。14歳で当時史上最年少の中学生プロ棋士に。58年、史上最速でプロ棋士最高峰のA級八段に昇段し、77歳で引退した現役最年長棋士(当時)。現役期間は最長不倒の63年と数々の記録を持つ。2000年、紫綬褒章を受賞。17年、「ひふみんアイ」で歌手デビュー。幅広く活躍中。《写真撮影:榊 智明》(『The 21 online』2018年3月号より)
「棋士」というと、特別な仕事…と思われるかもしれませんが、自分の仕事にプロ意識を持って臨む姿勢であれば、仕事の内容が何であれ同じことなので、興味のある方にはぜひ読んでいただきたいです。
全編掲載するととても長いので、特に印象の残った部分を抜粋して紹介しますね。
どうぞ♪
加藤一二三さん 将棋棋士
(日本将棋連盟 棋士データベースより)
「将棋界のレジェンド」が六十三年でたどりついた境地とは?
加藤一二三(将棋棋士)
引退の日まで、「負けると思ったことはない」
2017年6月20日、「神武以来の天才」と呼ばれた加藤一二三九段が現役引退を表明。昭和の将棋界を沸かせた棋士の引退により、時代に一つの幕が降りた。
その現役生活にわたり数々の記録を樹立してきた加藤氏だが、すべてが順風満帆だったわけではない。42歳で名人になったものの、引退直前にはC級2組まで順位を下げていた。それでも盤面に向かい続けたのは、なぜなのだろうか。
「将棋の世界には、名人を決める順位戦というものがあります。全棋士がA級からC級2組までの各リーグに所属し、戦績によって昇降級する制度です。私は、引退直前、C級2組に所属していました。勝敗次第では引退しなければならないクラスです。
一見、将棋を知らない人からすれば、私が名人から一気に最下位まで下りたようにみえるかもしれませんが、A級という一番上のリーグから50年ほどかけて下りてきていたのです。そこには、一つひとつ挑戦し続けた結果があり、歴史があるのです。
そのすべてのクラスで対戦した経験から、私はA級とC級2組の差は紙一重だとわかりました。そもそも、プロの棋士たちは天才の集団。誰がいつ勝ってもおかしくはないのです。逆もまた然り。トップの人間が落ちていくことも稀ではありません。つまり、いつでも下剋上できる可能性があるのです。
また、相撲の世界では、横綱が負け続ければ引退を余儀なくされますが、将棋の世界には名人が負け続けても引退勧告はされません。順位を落としても、一つひとつ上がっていけば、再びタイトルを取るチャンスが残されています。
だから、私は平然と戦い続けることができたのです」
引退する最後の日まで、「負けると思って戦ったことはない」と加藤氏は言う。
「私がライバルだと思っていたある棋士に、8年間勝てないときがありました。20連敗したのですが、そのときですら自分が弱いから負けたのではなく、たまたま負けただけだと思っていました。
藤井聡太四段も、『どんな人でも対等に戦う』とおっしゃっていましたけれども、おそらく彼は、名人をそそり立つ山だとは思っていない。その場の雰囲気に飲まれなければ、勝てるチャンスがあると思って盤面に向かっているのでしょう。私も同じ思いで引退の日まで戦ってきました」
無心だから、直感は9割正しい
将棋は、一瞬の気持ちの揺らぎが勝負を左右する厳しい世界。また、頭脳を極限まで酷使する世界でもある。ただ、考え抜いてもいい手が浮かばないことも多々あるはず。そんなときはどうしているのだろうか。
「1968年、大山康晴一五世名人と対戦して勝ち、私が十段になったときのことです。この対局で、一手を指すために七時間考え抜き、勝利を収めることができました。実はこのとき、直感によって最高の手を見つけ出すことができました。『この手があった!』という明確な閃きではありませんでしたが、『長く考えたら、このあたりに必ずいい手があるはず』と直感したのです。
余談ですが、対局中に相手の側に回り込んで将棋盤を眺める『ひふみんアイ』も、『見方を変えれば何かあるはずだ!』という直感から生まれました(笑)」
将棋は、ロジカルな世界だとばかり考えていたが、加藤氏はあえて直感を大切にしているという。
「『直感精読』という言葉があるように、私は直感こそが本質を掴んでいると思います。なぜなら、直感は無心であり邪念がないからです。
むしろ、後から浮かんだ手というのは、私にしてみれば罠。『勝手読み』といって、自分の都合にいいように今後の展開を考える可能性が高いからです。そこには、どこか希望的観測やヌケモレがある。持ち時間を使って考えるならば、『この直感は果たして正しいのか』を検証したほうが有意義なのではないでしょうか。
ちなみに、羽生竜王はご著書で、直感は70%の確率で正しいと書いていました。ものすごく謙虚だと思いました。私の場合は、どんな対局でも盤面を見た瞬間に、95%くらいの確率で最善手が浮かびます」
「感動する力」が、将棋を続ける原動力
加藤氏は、棋士として数々の記録を樹立してきた。ただし、これはあくまで一つの結果であり、記録のために棋士を続けてきたわけではないと指摘する。
「私を始め、多くの棋士は勝敗以上に、将棋の醍醐味や感動を大切にしている。だからこそ、将棋を指し続けているのです。
かつて、C級2組に負けた名人が、『将棋をやめようかと思った』と発言していました。よもや負けるとは思っていなかったのでしょう。しかし、私からすれば、これは大変未熟な言動です。そもそも、将棋への敬意が感じられない。私は、将棋は音楽のように、人を感動させる芸術と同じようなものだと感じています」
それでも、厳しい勝負の世界である以上、辛いこともたくさんあったはず。将棋をやめたくなったことはないのだろうか。
「将棋をやめたいと思ったことは一度もありません。よく、『戦い続けるのは苦しいのでは?』と質問されますが、棋士が勝負に夢中になれるのは、勝負自体に感動しているからです。もっと言えば、考えている中にこそ喜びがあり、楽しみがある。だから、私は一番いい手を考えているときが何より楽しいのです。単純な勝ち負けの問題ではありません。
仕事も同じではないでしょうか。成功と失敗だけを尺度に仕事を続けていては、いつか行き詰まります。それよりも、夢中になれる仕事をしていきたいものです」
転載元
ZUU online
https://zuuonline.com/archives/188335
いやー 本当にステキな人ですよねー!
引退する最後の日まで、「負けると思って戦ったことはない」
とか
直感こそが本質を掴んでいる
なぜなら、直感は無心であり邪念がない
とか
将棋は音楽のように、人を感動させる芸術
とか
棋士が勝負に夢中になれるのは、勝負自体に感動しているから
考えている中にこそ喜びがあり、楽しみがある
とか
成功と失敗だけを尺度に仕事を続けていては、いつか行き詰まります。
それよりも、夢中になれる仕事をしていきたいものです
数々のひふみん語録!
さすが天才と呼ばれる人は違いますね。
どうせ仕事するなら喜びや楽しみ、そして感動を大切にしたいですよね。
これからますますそういう時代になると思います。
仕事を通して感動を創造していけるよう、心を新たにした記事でした。
あー、ひふみん最高す!
いつもありがとうございます。
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