2024.03.26世界の宗教とLGBT

世界の宗教とLGBT

こんにちは。

 

今日は何かと世間で話題になっているLGBTについてのお話です。

 

 

今月の上旬に届いた生物学者の池田清彦さんのメルマガに書かれていたLGBTの話がとても勉強になりましたので、備忘録がてらこちらに残しておこうと思います。

 

 

池田さんのメルマガを読むと、性の多様性はもともと世界的に寛容だったことがうかがえます。

 

 

もともと性の多様性を認めていた世界が、特定の宗教によって不寛容になり、今また多様性に戻ろうとしているようです。

 

 

長い文章ですが、とても大事なことと思いますので最後までお付き合いください。

 

 

 

池田清人さんのメルマガについては、↓こちらをご参照ください。

 

 

やせ我慢日記

池田清彦のやせ我慢日記
https://www.mag2.com/m/0001657188

 

 

 

 

 

池田清彦のやせ我慢日記  

 2024年3月8日発行   Vol.259

 

『LGBT容認と差別の歴史』

 

 前回は一神教が世界宗教になるまでは、性的マイノリティが忌み嫌われ、コミュニティから石もて追われるようなことはなかったという話をした。多くの社会では、性的マイノリティは特殊な人だと思われることはあっても迫害されることはなかったようだ。

 まず、日本において、明治時代より前に性的マイノリティが社会的にどのように扱われていたかについて見てみたい。平安時代後期に作られた「とりかえばや物語」という物語があって、関白左大臣に二人の子がいて、男児は内気で女性的な性格で、女児は快活で男性的な性格であったため、父親は男児を女装させて女性として育て、女児は男装させて男児として育てたところ、二人とも社会的にうまく立ち回り、出世街道を登っていったという話である。

 二人は、身体的な性とは反対の性を与えられても、苦痛なくうまく適応して生きていたので、トランスジェンダー的資質を持っていたと思われるが、結局、ばれてしまい、本来の身体的な性に戻って、ハッピーエンドを迎えるという筋立てである。重要なことは、このような状況は特異なことではあっても、忌むべきことのようには書かれていなかったことだ。当時の人たちもこの物語を受け入れていたことから、性的マイノリティに対する差別はなかったと思われる。

 同性愛も日本では常態で、特に僧侶は女色を禁じられていたので、所謂ゲイに走る人が多かったようだが、社会的秩序からの逸脱とは看做されていなかった。武士の間でもゲイは一般的で、武将の傍に控えていた小姓は、時に男色の対象とされたが、これもネガティブなこととは考えられていなかった。江戸時代になってからは、陰間茶屋という男性の売春夫を置いてある売春宿があり、吉原ほどではないにせよ、結構流行っていたようである。

 女性の同性愛も、大奥では良く行われていたと思われ、「大奥はまず上役が下になり」という川柳があるくらいで、張型や媚薬や肥後ずいきなどを売る業者が出入りしていた。有名なのは両国薬研堀にあった「四つ目屋」で、レズビアン用に双頭の張型も商っており、「四ツ目屋は女ばかりを喜ばせ」という川柳が残っている。総じて、明治時代より前は、性は淫靡なものとして扱われておらず、性的マイノリティも含めて、性的な行為をおおらかに楽しむ風潮が強かったと考えられる。

 明治以降、キリスト教が解禁され、知識人の中にキリスト教的な性倫理を持つ人が現れ、性的マイノリティを異常・醜悪として糾弾する傾向が強くなる。先に述べた「とりかえばや物語」も、藤岡作太郎などの明治期の一部の国文学者によって「嘔吐を催す」と酷評された。この傾向は近年LGBT解放運動が始まるまで、続いていた。

 日本以外に目を移すと、やはり一神教が世界宗教になる前までは、性的マイノリティに対する差別はほぼなかったと考えられる。第47代皇帝コンスタンティヌス帝が313年にミラノの勅令でキリスト教を公認するまで、ローマ帝国は長い間キリスト教を迫害してきており、キリスト教の教義は一般大衆にも広がらなかったため、同性愛が差別の対象とされることはなかった。

 古代ギリシャ最強の精鋭歩兵部隊と謳われた「神聖隊」(紀元前378年に結成、前338年に崩壊)は150組の同性愛者からなる300人の部隊であったと言われ、男性の同性愛は、絆を強めるという観点からむしろポジティブな存在であった。先に日本では武士の間で男色が流行ったという話をしたが、軍隊は男ばかりであり、華奢な少年が同性愛のターゲットとされるのは洋の東西を問わないようである。前回、ローマ帝国第23代皇帝のヘリオガバルスはMTFであったのではないかという話を書いたが、同性愛的指向を持つ皇帝としてはネロやハドリアヌスが有名である。

 暴君として悪名高い第5代皇帝ネロ(紀元37年~68年)は、2番目の皇后ポッパエアの死後、16歳の美少年スポルスを愛し、去勢して女装させ、第三の妃にしたと伝えられている。第14代皇帝ハドリアヌス(76年~138年)も美少年アンティノウスを寵愛し、視察旅行にも常に同伴させていたが、エジプトに赴いた際、アンティノウスはナイル川で溺死し、嘆き悲しんだハドリアヌスは、彼の名を永久に残すため、アンティノウスという名の町を建設したと伝えられている。同性愛は、忌むべきこととは全く考えられていなかったのである。

 西洋以外でも一神教が拡がる前までは、LGBTが差別の対象とされることは基本的になかったと思われる。ネイティブ・アメリカンの社会でもLGBTは存在したが、彼らはネガティブな差別の対象ではなく、むしろ特殊な能力を持つ鬼才として遇され、シャーマンや預言者の役を担ったようだ。

 西洋の植民地化が進む前までのアフリカでも、LGBTは取り立てて差別の対象とされることはなかった。比較的最近までは、伝統的なアフリカの共同体は、完璧なヘテロセクシャルな社会であると喧伝されていたが、近年になりこういった認識は間違いであり、アフリカを植民地化すべくやってきた、エスノセントリズム(自文化中心主義)に凝り固まった人種差別主義者、宣教師、文化人類学者、民族心理学者などが捏造した神話である、とする研究が盛んになってきた。

 彼らは、アフリカはホモフォビア(同性愛嫌悪症)の社会だと吹聴してきたが、ホモフォビアは自分たちであり、アフリカの伝統的な共同体は性的マイノリティを差別する社会ではなかったようだ。アフリカを植民地にした西洋の列強は、同性愛を犯罪とする法律を作って、現地の人々に押し付けたのである。

 宣教師の活躍(暗躍)によってキリスト教徒が増えた国では、こういった法律が今も引き継がれている。北アフリカは元々イスラム教が支配的で、現在ではアフリカの30か国以上の国で同性間の性交渉は非合法になっている。南アフリカが唯一同性婚が合法な国だが、女性の同性愛者は、corrective rape(性的指向を矯正すると称してなされる強姦)の恐怖に晒されているという報告も多い。

 ウガンダは国民の大半がキリスト教徒で、2023年に「反LGBTQ法」を厳格化して、同性愛者に対して死刑を含む刑罰を科すようになった。アメリカのキリスト教の保守派が、ウガンダの教会に資金援助を行い、LGBTに反対するように要請したという話も伝わっている。

 西洋ではキリスト教の支配が強まって以来、LGBTは迫害されていたが、20世紀の後半になって、徐々に同性愛を非犯罪化する国が現れた。私見によれば、キリスト教の信者と称する人々の中でも、聖書の記述を絶対的真理として信じる人が徐々に減少してきたことが、その背景にあるのではないかと思われる。

 20世紀半ばにナチスが台頭して、同性愛者を激しく弾圧したが、これは聖書の同性愛を認めないという教義を信奉しての政策ではなく、アーリア人至上主義に基づく人種差別政策の一環として行われたものである。ナチスはアーリア人以外の民族を劣等民族として差別すると同時に、身体障碍者、LGBTなども劣等人間として抹殺しようとしたのである。したがってナチスのLGBT弾圧はLGBT差別の歴史の中では特殊であり、LGBT差別(と開放)の本流からは、はるかに離れた傍流と解すべきである。

 先進国では21世紀に入ってから、同性婚を認める国や、性別の変更要件に不妊手術を課さない国が増えてきた。これは無神論者が増えたことと関連すると思われる。例えば、イギリスの「国立社会調査センター」によれば、イギリスで何の宗教も信じていない人の割合は1983年に31%だったのが2016年には53%に達したという。この傾向は欧州では一般的なようで、フランスでも1981年の調査では無宗教の人が27%だったのが、2018年には58%に達しているという。

 南北アメリカでも同性婚は少数の国(ペルー、ボリビアなど)を除き大多数の国で承認されている。アジアに目を移すと、同性婚が認められているのは台湾とネパールだけである。台湾人が信仰する宗教は、35%が仏教、33%が道教、民間信仰が10%、キリスト教が4%、無宗教が18%であり、ネパールではヒンドゥー教(多神教)が8割を占め、仏教が9%、イスラム教が4%となっており、ともに一神教の信者が少ない。タイでも同性婚の合法化に向けて議会が動いているが、タイは多神教の仏教徒が9割を占め、もともと国民の間にLGBTを差別する風潮は希薄である。

 アジアの国でもイスラム教の信者が多いマレーシアやインドネシアではLGBTへの差別は根強く、キリスト教の信者が多いフィリピンや韓国でもLGBTの容認に対してはキリスト教の保守派による反発が大きい。そんな中で、日本はLGBT容認をめぐって、権力と国民の間に極めて不思議なねじれが生じている。

 日本は国民の6割強が無宗教で、キリスト教の信者はわずかに1%であって、一神教が根付かない国なので、元来LGBTに対する差別感情はほとんどないと考えられる。前述したようにそれは歴史的に見ても明らかであるし、現在もその傾向は続いている。2023年のJNN(ジャパンニュースネットワーク)の世論調査によれば、同性婚を法的に認めることに賛成の人は63%、反対の人は24%で、特に若い人(18歳以上30歳未満)では、男性で賛成75%、反対20%、女性で賛成91%、反対4%となっており、同時期の共同通信の調査でも、全体で賛成が71%になっているという。

 それにもかかわらず自公政権は同性婚の合法化に対して極めてネガティブな態度を貫いている。これには理由があって、自民党の議員の多くは、統一教会からの支援を受けて当選するという構図が1970年代から続いており、統一教会からLGBTを支援しないように圧力をかけられており、票と金のためにLGBT問題に関しては、統一教会の言いなりになっていたのである。統一教会は頑迷な一神教で、LGBTに対して極めて敵対的な立場を取っている。これが国民の多くが支持している同性婚の合法化が実現しない最大の理由である。

 しかし安倍晋三狙撃事件により、統一教会と自民党の癒着が白日の下に曝され、統一教会が自民党を牛耳続けるという構図にも徐々に陰りが見え始めてきた。トランスジェンダーの性別変更に不妊手術を課すという法律の規定が憲法違反だという、2023年の最高裁の判断の背景には、こういった事情もあったと見るべきだろう。

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

 

 

宗教観はとても大切なことだと思いますが、ちょっと間違うと人を幸せにするどころか縛りつける道具になってしまうようですね。

 

 

こういった束縛から自由になり、一人ひとりが“自分教”を確立する時代を迎えているのかも知れません。

 

 

自由と自己責任、そして自律…、こういう動きはきっと人類の進化なのでしょうね。

 

 

 

 

いつもありがとうございます。

 

 

 

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青木敬司
青木 敬司 (あおき けいじ)

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