2015.07.22成功体験は人生をサポートしてくれない 天外レポートより

成功体験は人生をサポートしてくれない 天外レポートより

こんにちは。
今日は奈良県の新大宮駅近くのホテルからアップしています。相変わらず出張が多く、今週はほとんど関西で過ごしています。明日からは兵庫の芦屋、その後は岡山、そして大阪に戻って、その翌日は兵庫の加古川、そして東京に戻ります。

出張に出るたびに自宅が一番だなぁと思います。最近特にこういう思いが強くなってきました。以前は出張大好き人間だったのに、変わるものですね。中年オヤジになったからでしょうか…。まぁそんなことは気にせずもう一頑張りしようと思います。

さて今日は、先日もご紹介した天外伺朗さんのメルマガの続編です。

 ※前回の記事はこちら…
  http://kamuna-p.jp/blog/2015062900/1.shtml

天外さんは、元ソニーの上席常務でおられた方。CDやAIBOの開発で大活躍されたことで有名です。
天外さんはこれからの経営体のあり方について、「フロー」をキーワードに具体的な提言をされています。
今回のレポートも大変素晴らしい内容でしたのでご紹介させていただきます。
少し長いですが、興味のある方にはぜひお読みください。

従来の社会の常識を詰め込んだ頭で読むと疑問点だらけかもしれませんが、一人の人間として素直に読んでいただくと、新たな気づきや学びが得られることと思います。

ご参考になさってください。

どうぞ。

天外レポート No. 90(2015.07.20)

「成功体験は人生をサポートしてくれない」

これは、35年前にCD(コンパクト・デイスク)を開発した後に気付いた。
まだ三十代の若者にとって、これ以上ないといえるほどの成果だった。

ところが私の内面は不安でいっぱいであり、自信もなく、さらに成果をあげなくてはいけないと焦っていた。
それまでは、成果さえあげれば人生は安泰になる、と信じていたのに、そうではなかったのだ。

ただ幸いなことに、私はCDの開発のときも、その前に高校・大学と続けたグライダーやジャズの演奏でもたっぷりと「フロー」を経験していた。
無我夢中で何かに取り組んでいるときの快さ、不安も心配も吹き飛んで、一途に邁進しているときの高揚感は、何物にも代えがたかった。

それから何年もかかったが、私は人生をサポートしてくれるのは、成功体験や成果ではなく、「フロー体験」であることに気づいていった。
もちろん、まだ「フロー」という言葉は知らず、のちに本に書いた「燃える集団」という現象のイメージも固まってはいなかった。
しかしながら、何かにのめりこんでいるときの精神状態が、人間の本質であり、自然であることを本能的につかんでいたように思う。

それに気づいてからは「フロー」である時間が長くなり、精神的にとても安定したように思う。
以前ほどには成果を追い求めなくなり、飄々としていたのだが、その後もワークステーション(専門家向けコンピュータ)NEWSや犬型ロボットAIBOなど、結果的には成果も上がった。

「フロー」の大切さを説いている人は、まだきわめて少数だが、ホワイト企業大賞企画委員をお願いしている、スポーツドクターの辻秀一さんはその一人だ。
彼は「フロー」を「ご機嫌」、その真逆の「ノンフロー」を「不機嫌」とわかりやすく表現しておられる。
いつも「ご機嫌」ならすべてがうまくいくし、「不機嫌」ならトラブルだらけになることは常識でもわかるだろう。

成果を求め、成功を目指して歯を食いしばって頑張っているとき、思うようにいかないと人は「不機嫌」になる。
そうすると成功は逃げていく。
「不機嫌」になっていると気づいたら、なるべく早く脱出する。
日常の些細な出来事を通じて、なるべく「ご機嫌」でいられるように習慣化する、などが「辻メソッド」の真髄だ。

人はなぜ「不機嫌」になるのか。それは、「認知脳」の「意味付け」による、と辻さんはいう。
たとえば、「雨が降っているので憂鬱だ」と思ったとしよう。
「雨」が憂鬱なのではない。「認知脳」が勝手に「憂鬱」という意味付けをしているのだ。

「認知脳」というのは、部位でいえば「大脳新皮質」。
猿から人に進化するときに大幅に発達し、言語や論理をつかさどっている。
そして、物事を否定的に解釈する、という特性を持っている。
それは悪いことではなく、そこから脱出するために人類は文明を発達させた。
雨が降って濡れるのをいやだと思うので、傘を発明した。
否定的な意味づけは文明の源であり、「いやだ」と思うこと自体はとても大切なことなのだ。
しかしながら、それにより人は「ノンフロー」になり、不機嫌になる。これを「認知の暴走」という。

「辻メソッド」では、日頃の些細な出来事の中で「意味付け」や「認知の暴走」に気づき、不機嫌から早く脱出する習慣を身に着ける。
また、「楽しいことを考える」など、「ご機嫌」になる習慣も日常的に心掛け、次第に「フローな人生」へ導いてゆく。
これは、とても有効な方法論だと思う。

一方「天外塾」では、「瞑想ワーク」を多用する。
『問題解決のための瞑想法』(マキノ出版)の最初の例は、塾生の「毎日のように遅刻してくる社員が二人いる。どう対処したらいいか?」という悩みだった。
私との長い議論の結果、問題の真髄はその二人が遅刻することではなく、「遅刻した二人を見て激しい怒りを感じる塾生自身の心の働き」であることを納得していただいた。
つまり、「遅刻は悪いこと」、「遅刻する社員は悪い人」という塾生自身の「意味付け」に気づいていただいたことになる。

この例では、塾生はその後一か月間、毎朝毎晩「情動の瞑想」に取り組んだ。遅刻してくる二人を思い浮かべ、その時の「怒り」を感じる、という瞑想ワークだ。
何の操作もなく、ただひたすら「感じる」ということが要求される。

塾生は、一か月後に「怒り」から解放され、フレックスタイムを導入して「遅刻」という現象をなくした。
それから業績は大幅に改善した。

「意味付け」に気づくところまでは、意識レベルでのワークだ。
ところが、この塾生の場合無意識のレベルに、抑圧された怒りの情動を抱えており、それを軽減しない限り、また別の事象を見つけて激しく怒ることが予測できた。
遅刻問題が片付いても抜本的な解決にはなっていないのだ。

人は、何かが起きて、その為に怒りの情動がわいた、と思いがちだが、そうではない。抑圧された怒りを投影する対象を必死に探しているのだ。
怒るような事件を引き寄せている、といってもよい。

このような無意識レベルの葛藤にまで配慮すると、瞑想や催眠など、直接無意識にアクセスする方法論がとても効果的だ。

経営者がいつも「ご機嫌」でいられたら、社員はハッピーで会社はうまくいく。
「ご機嫌」な人は、なぜか運にも恵まれ、あまり努力をしなくても、やることなすことうまくいく。
それが「フローな人生」だ。

売り上げや利益を追い求めても、なかなか得られるものではない。
成功を目指し、成果をあげようと必死に努力しても裏切られることが多い。

それよりも、「ご機嫌」でいられるように自らをトレーニングし、無意識レベルの葛藤を解消することができれば、「フローな人生」になり、自らも周囲もハッピーになれる。

あなたも、今日から「ご機嫌」を心掛け、「フローな人生」を歩む仲間に入りませんか?
 

いかがでしたでしょうか。

人の意識には、顕在意識、潜在意識、超意識の3つがあります。
日頃私たちは顕在意識で物事を判断して自分をコントロールしながら生きているつもりですが、実はそうではなくて今まで生きてきた様々な記憶が蓄積されている潜在意識に支配されています。そして潜在意識が様々な感情を伴って顕在化し、目の前の現実を生みだしています。

天外さんはこれからの企業経営において、その潜在意識と向き合いクリアにしていくことが大切だと説いています。私もまったく同感です。

潜在意識の働きによる無意識下の行動が、目の前の現実を引き起こしているのですから、そこさえクリアできたらすべては心地よいものに変わるのです。
世の中にはいろいろな成功法則がありますが、このアプローチが最も本質的と思います。

ほんの少し考え方を変えてみると、世の中が全然違って見えてきますよ!

いつもありがとうございます。

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青木敬司
青木 敬司 (あおき けいじ)

カムナ・プランニング 代表
コンサルティング(スムージング経営)
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